川添英一歌集 流氷記 第16号より
この本はタテ10.5cm x ヨコ6.5cm 64ページのミニ歌集です。
半分が氏の作品、残りのページは前号の作品から読者が選ぶ私の選ぶ一首の構成からなっています。
この号には作家の北杜夫さんや藤本義一さんの名前も見られました。
その中にオランダ屋書店店主(私)の選ぶ一首も載せてありましたので御紹介させていただきます。
さまざまな歴史重なる本統の自分を捜しに古書店に寄る(燃流水)
川添先生は、古書店の客である。以前二三度本を買いに伺った事もあるし、網走から送って来た事もあった。様々に歴史重なるこの方から買い取った本の中に、思い出に残る本がある。南伝大蔵教という七十冊に及ぶ仏書であるが、この本は、暫くして、広島の若いお坊さんが買ってくれた。十年以上も前の事である。それ以来、このお坊さんと御縁が出来て、今も続いている。古書店にも様々な出会いがあり、様々な人生が有る様だ。一冊、一冊に、著者の、出版社の人達の、又旧蔵者の人生が、秘められている。私も人並みに、迷いながら生きてきたが、五十歳を越えて、やっと、本統の自分はここに居ると感じている。
(株)オランダ屋書店店主