苦しみを解き放たれて横たわる母あり       微笑みのかく美しき。

(悲母蝶)

家内の母は糖尿病との長い戦いの中で、失明し やがて片足を足首から切断していた。
文字通り杖となった父は、
インパール作戦の生き残りで、見るからに頼もしい杖であった。

その母が亡くなったとき、そこに、
苦しみを解き放たれて横たわる母がいた。
最期の別れで、父は、
お前一人で、どうやって三途の川を渡るんや、目も見えんのに 足も悪いのになー
と 語りかけた。
苦しみの中にいた人には、 死は 安らかな浄土への旅の始まりなのだろうか。
母の顔の中に 微笑を見たし、穏やかな きれいな顔を していた。

私にとっては、この歌の    母あり    微笑みの間には、かけがえの無い
こんな思いが あって
繰り返し読むだけで 涙が出てくる。

 

 

古書店日記を サボるなと、ありがたい お客様の励ましがありました。
売上低下は様々なところで、影響が出て来ているようだ。
また、気を取り直して 日記を書こう。

川添英一氏の歌集 流氷記は 10.3cm × 6.3cm、80ページの可愛い歌集ながら、
第40号を越えた。昨年は朝日新聞の折々のうたにも取り上げられたほどで
川添氏の才能と情熱には頭が下がる。
毎号、川添氏が作った約80首が載っており、歌集を送られた人達が その中から
気に入った歌の感想を寄せてくる。それを合わせて次の号を出しておられる。

作家の藤本義一さんや、田辺聖子さんなどがキチンと丁寧に
批評されているのが嬉しい。
女優の吉永小百合も読者の一人のようだ。

今回の日記は、この歌集から書かせてもらった。